セクシャリティー

わたしたちの住んでいる時代は、性が暴露され、商品化さえされるように なってきました。こうして、性において、互いの間に恥じらいの感情がなく なってしまうと、性のパートナーが物質化されてしまい、性は欲動のはけ口に しかなりません。このために、性が本来持っている機能、親密さや一体感が失 われて、快楽が刹那的になってきました。  性は幼児期から少しずつ発達していきます。幼いときの性は大切に保護さ れ、内密のものとして保たれ、個人の人間性が成熟し成人になり異性と対等の 人間関係が恐れなく築けるようになったとき開花されるべきものでしょう。  幼児期の性的虐待は痛ましい経験になります、秘密にされるべきものが無理 矢理に開かれ、奪われていきます。この経験は、「世界は安全ではない」「人 は信頼できない」との抜きがたい信念を植え付けられることになります。同時 に、自分は価値がない、大切にされるのに価しないと信じるようになります。  本来、性は新しい命の誕生に欠かせないものであるだけでなく、夫婦の親密 さを増し加えるのに役立つ大切なものです。しかし、性がゆがんだ形で利用さ れてしまうと、人間の最も内密にされるべき部分がおかされてしまうことにな るので、その被害者は今度は、性を自分または他人の欲望を処理する道具にし てしまいがちになります。結果として、性の非行に走ったり、性を商品として 利用したり、他人を誘惑するのに用いるようになることがあります。あるい は、他の人との親密な関係を築くことが難しく、夫婦の性関係においても不感 症になることもあります。